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投稿:2022.11.07

215. 代表の話7・「『普通』の背中を追い掛けているということ」の巻

ある弱視の女子生徒は目の前を走る同級生の背中を必死に追い掛けていました。中学校のマラソンの時間。1メートル先しか見えない視力でその背中を見失わないよう、食らいついて走ります。「障がいを隠すことに必死だった」というその生徒は盲学校ではなく、「普通」の学校を選択。「常にみんなと同じ普通でいたかった」。追い掛ける背中が遠くに消えてしまえばみんなから取り残され、笑い者にされるかもしれない。そんな恐怖と戦いながら「普通」の背中を追い掛けていました。

この生徒は大学に進学後、視覚障害者柔道に出合いました。当初は抵抗があったようですが、全国大会に初出場すると優勝。障がいを受け入れ「目が悪くても世界一を目指せる舞台がある」と気付いてからはメキメキと頭角を現し、世界トップを争う選手にまで成長しました。パラリンピックにも3度出場したこの選手は福島県いわき市出身の半谷静香さん。このエピソードは半谷さんの講演会で披露されたものでした。

みんなと同じでいたい気持ちは障がいある無し関係なく、特に一般的な日本の教育を受けてきたら思うかもしれません。周りを気にせず自分を表現できる鋼の心を持つ人をのぞき、みんな「普通」の背中を追い掛けてしまうもの。なぜみんなできているのに自分にはできないのか、みんなから取り残されてしまう、とにかく笑われないようただ普通でいたい。そんなことをぐるぐると考え焦って「普通」の背中を闇雲に追い掛け、無限のループにはまって息苦しくなっていく。

でもその背中を追い掛けなくても、半谷さんがそうであったようにそれぞれがそれぞれで輝ける舞台はあります。「普通」の背中を追い掛ける足を止めるには、最初に心の痛みを伴うかもしれません。「はなのころ」にはその痛みと今戦っているメンバーがいるかもしれません。でもここを乗り越えると、他人の背中ではないもっと自由で広大な世界が目の前に広がるかもしれません。人と違ってもいい、自分の道を自分のペースで歩いていいと、「はなのころ」が勇気と安心を与えられますように。(代表・西山)

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