488. 医療創生大で講義② |精神障がい者向けの作業療法を学ぶ学生に講話
「はなのころ」の代表・西山将弘とつばさがこのほど、福島県いわき市の医療創生大の健康医療科学部作業療法学科3年生の授業に招かれ、精神障がい者と意欲をテーマに講話しました。同大から2日間連続で招かれた授業のうちの2日目最終日(1日目の授業>>>)。
精神障がい者向けの作業療法を学ぶ演習の授業で7月17日に実施。テーマは「リカバリー」で、3年生約30人が出席しました。
教室にははなのころメンバーの作品も並べ、学生にまず鑑賞してもらいました。西山は自己紹介後、活動の概要を説明。2020年春から活動を始め、展示活動の「ギャラリー」、グッズ制作販売の「ショップ」、デジタルイラスト制作の「デザイン」、交流事業の「パーク」の各プロジェクトを、メンバーの成長の変化も交えて話しました。創設メンバーのつばさは、自身の作品を紹介したほか、はなのころ加入の経緯や、生活環境と体調の波が激しく苦しみながらも活動を続けてきた当初を振り返りました。
メンバーがまだ少なかった活動開始当初に行っていた、本音をくみ取るためのコミュニケーションの工夫を紹介。リハビリ患者の思いに触れるヒントになればと、西山は「『やりたくない』というメッセージは『本当はやりたいけど、自信がないからやりたくない』という意味かもしれない。もしそうなら、自信をつけさせることで思いに応えられる」と話しました。
活動で意欲を高めさせるために意識している点として、西山はイソップ童話の「北風と太陽」の話を挙げ、無理やりではなく本人がやりたいと自発的に意欲をわかせる重要性を挙げました。「作品を飾って終わり」ではなく、見た人から反応があれば本人にフィードバックする点も紹介。評価するハードルを下げてほめる話では、昨晩「学校に行く」と言っていた不登校児が当日朝に「行かない」と言った場合の例を出し、「なんで」と怒るのではなく、昨晩「学校に行く」と口にしただけでも本人にとって大きな一歩だったと受け止めきちんと成長を伝え安心させる心構えを紹介。一般的にできて当たり前のことでも当事者にとってはできないこともある中で、些細なことでもできた事実を見つけて評価していると話しました。
障がい者との向き合い方で「ほめる時はうそをつかない」と西山が言ったのに対し、学生から「なぜうそをつかないようにしているのか?お世辞でもほめられると嬉しい」という質問も。西山は肌感覚として、「特に精神障がいの方は猜疑心が強いのでうそをついてほめてもバレたり、信じてもらえない。小さいことでもきちんと成長した事実を見つけてほめて上げるのが意欲を高めるのに大切」と個人的な感想として答えました。最後、学生はあらためて作品を鑑賞。つばさの編み物作品を見て「かわいい」と笑顔になった学生もいて、つばさが交流を楽しんでいました。
講義後、学生からの感想で、作品から制作する集中力やエネルギーを感じたという声や、当事者としてつばさのメッセージが印象に残ったという声、西山のメンバーとの関わり方の工夫が作業療法士を志す上で参考になったという声などが寄せられました。
学生の皆様、この度はお世話になりました。「はなのころ」も障がい者の可能性を広げるべくベストを尽くして参りますので、皆様も将来医療・福祉に携わってご活躍されてまた何かでお会いできることを楽しみにしております。
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